✅ 地域の力とは何か
私が働く施設では、都市部のように多くの待機者がいるわけではありません。重度の認知症で支援が非常に大変だと予想される方や、ご本人やご家族に特徴のある方、いわゆるカスハラと呼ばれるような方でも、「地域の力」といった見えない圧力によって断れない状況があるのではないかと感じている。これは田舎特有の事情かもしれません。
✅ 理不尽に感じる現実
現場からすると、正直「なぜそこまで無理をしてでも受け入れなければならないのか」と感じることもあります。支援の負担が大きい利用者が1人加わるだけで、他の多くの利用者へのケアにしわ寄せが生じる。その結果、やりがいの一つである個別ケアが制限され、職員のモチベーションが下がってしまいます。
✅ 強みとしての地域の力
一方で、この「地域の力」があるからこそ、地域から信頼され、必要とされているとも言えます。断らない姿勢が、長期的に見ると「地域包括ケアシステム」の一翼を担っているのも事実です。地域に根差した施設だからこそ、見放されない安心感を与えている部分もあります。
✅ 違和感と風通しの悪さ
しかし、この「理不尽」と「強み」が混在する状況は、現場に違和感を生み出します。「本当は負担が大きいのに、口に出せない」という空気が広がり、風通しの悪さに繋がる。結果的に、満足度の低下やケアの質の低下、最悪の場合は職員の離職にまで発展しかねません。
✅ 地域との関係をどう築くか
大切なのは「地域の力」に流されるだけでなく、現場の声をどう地域に伝えるかです。理不尽さをただ我慢するのではなく、時には地域に理解を求め、共に解決策を考える。そうした関係性の構築こそが、持続可能な介護の形だと感じています。
✅ 私自身の実感として
私自身、こうした地域の力を「理不尽だ」と感じたこともあれば、「ありがたい強みだ」と感じたこともあります。その両面が常に存在しているからこそ、現場では葛藤が続きます。そして、この葛藤が解消されないまま積み重なると、職員の不満や疲弊につながりかねません。だからこそ、「地域の力」をどう受け止め、どう形にしていくかは、現場にとっても法人にとっても避けて通れない課題だと強く感じています。
👉 まとめると、「地域の力」は理不尽でもあり、強みでもある。その両面を冷静に見つめながら、現場・法人・地域が一緒に歩んでいける道を模索することが、これからの介護の質を高める大きなポイントになるのではないでしょうか。
今回のシリーズでは、ニーズの”多様化”について考えています。
【第1回】利用者の世代交代と現場の葛藤
【第2回】利用者像の変化と“芯の強さ”へのリスペクト
【第3回】変化する現場──これからの介護職に求められること
【第4回】組織として考える「過度な要求」と「職員を守る仕組み」
【第5回】現場を守るために「仕組み化」が必要な理由
【第6回】職員を守ることは、社会を守ること
【第7回】職員を守るための具体的な仕組みづくり
【第8回】入居施設において、利用者を選ぶことは必要か?
【第9回】経営と現場をつなぐ“対話”の重要性
【第10回】信頼を築くための実践方法 ― 経営と現場の“橋渡し”
【番外編】地域の力という理不尽と強み
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