✅ 「守る」とは甘やかすことではない
まず大前提としてお伝えしたいのは、職員を守ることは職員を甘やかすことではないということです。
職員が守られることで、安心して本来の力を発揮できるようになる。
これは結果的に利用者さんやご家族にとってプラスにつながります。
✅ 法人・事業所レベルでできる仕組み
- ルールの明文化
- 支援の基準をはっきり示す
- 基準を超過する場合は自費、または医師の指示書などの条件をつける
- 誰が対応しても同じ判断になるようにする
- 不公平感をなくす工夫
- 要望が強い人ばかりに対応が偏らないようにする
- 利用者全員に同じサービス水準を届けるための仕組みを整える
- 職員の相談窓口を設ける
- 現場で困っても「一人で抱え込まない」
- 上司や法人本部へ繋げられるルートを整える
✅ 国や制度レベルで必要な視点
- 職員の権利を守る法律的枠組み
→ 暴言や暴力、過度な要求に対して守られる仕組みが必要 - 処遇改善の継続と拡充
→ 賃金・待遇の改善は人材確保の大前提 - 社会全体への理解促進
→ 「介護はなんでもやってもらえるものではない」という共通認識を広める
こうした国レベルの後押しがなければ、法人や事業所だけでの改善には限界があります。
✅ 「守られている」と感じることの意味
僕自身、介護の現場で18年働いてきて、強く思うことがあります。
それは、「守られている」「ひとりじゃない」そう感じられると、踏みとどまれるということ。
利用者さんの理不尽な訴えや、過度な要求に対応するときでも、
「自分は組織に守られている」「仲間がいる」と思えれば、冷静さを保てます。
逆に、「自分は孤立している」「誰も守ってくれない」と感じた瞬間に、人は折れてしまいます。
だからこそ、職員を守る仕組みは現場に不可欠だと感じます。
✅ まとめ──守る仕組みが現場の力になる
- 守ることは甘やかすことではなく、力を発揮させること
- 法人・事業所はルールを明確にし、不公平感をなくす工夫を
- 国や社会は法的枠組みや処遇改善で支えること
- 職員が「守られている」「ひとりじゃない」と実感できる環境が、最終的に利用者の安心につながる
職員を守る仕組みは、介護の質を守る仕組みそのもの。
これからの介護現場に欠かせない基盤だと、僕は強く感じています。
今回のシリーズでは、ニーズの”多様化”について考えています。
【第1回】利用者の世代交代と現場の葛藤
【第2回】利用者像の変化と“芯の強さ”へのリスペクト
【第3回】変化する現場──これからの介護職に求められること
【第4回】組織として考える「過度な要求」と「職員を守る仕組み」
【第5回】現場を守るために「仕組み化」が必要な理由
【第6回】職員を守ることは、社会を守ること
【第7回】職員を守るための具体的な仕組みづくり
【第8回】入居施設において、利用者を選ぶことは必要か?
【第9回】経営と現場をつなぐ“対話”の重要性
【第10回】信頼を築くための実践方法 ― 経営と現場の“橋渡し”
【番外編】地域の力という理不尽と強み
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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