高市新総裁の発言と僕の介護現場の今


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“高市新総裁が語った「補正予算で医療・介護を支援」発言。現場の介護職として感じる期待と課題。現場の意識間を見つめ直します。”

新総裁・高市氏の発言に注目が集まる中で

自民党の新総裁に高市早苗氏が選出され、就任後の記者会見では「病院や介護施設は大変な状況。診療報酬改定を待てない」「補正予算を使って支援できる形を検討したい」といった発言がありました。
現場で働く介護職として、この言葉には大きな期待を感じます。物価高や人件費の上昇が続く中、国が迅速な対応を取ろうとする姿勢は、現場の感覚とも一致しているからです。

一方で、こうした政治的なニュースが流れても、現場で話題になることは驚くほど少ないのが現実です。
新総裁の誕生という国政レベルの出来事でさえ、職員同士の会話でほとんど出てこない。
「高市さん、そんなこと言ってたんだ?」という反応が多いのが、僕のまわりの率直な印象です。

現場に届かない“政治の声”と、その背景

なぜ話題にならないのか。
政治的な思想を持ち出すことを避けているからかもしれません。
あるいは、単純に忙しすぎて、それどころではないのかもしれない。
どちらにしても、この「政治と現場の距離」は、介護という仕事の厳しさを象徴しているように思います。

介護現場は、慢性的な人手不足と時間的な制約の中で、日々のケアに全力を注いでいます。
制度がどう変わるかよりも、今日のシフトをどう回すか、利用者さんが体調を崩していないか、危険はないか、どう楽しんで頂こう──その方がよほど切実です。
そうした日常の重さの前では、「補正予算が組まれる」というニュースも、実感としては遠い話になってしまう。
この温度差こそ、今の介護現場が抱えるリアルな課題のひとつではないでしょうか。

補正予算はありがたい、けれど“一過性”に終わらせないために

補正予算という手段は、確かに「緊急対応」としては大きな意味を持ちます。
しかし、現場にいる立場から見ると、補正予算での支援が「一度きり」で終わってしまうと、また次年度以降で苦しい状況が戻ってしまうリスクがあります。

補正予算は“例外措置”的な性格が強いため、毎年の物価上昇・賃金上昇に対応するには、制度として“予め組み込まれた継続的な改定・制度設計”が不可欠です。
介護報酬の改定が数年に一度のサイクルであることを考えると、現場の実情に即したスピード感とは言えません。
「診療報酬改定を待てない」と高市総裁が述べたように、介護現場も“待てない”状況にあります。

持続的な支援こそ、介護の未来を支える鍵

補正予算での支援は、確かに今の現場にとって大きな助けになります。
しかし、介護職員が減り続けている現状を考えると、一時的な支援だけでは人財の確保や定着にはつながらないのではないかという現実もあります。

たとえば、せっかく国が動いても、現場の職員が「どうせ一時的でしょ」と感じてしまえば、モチベーションの向上にはつながりません。
給与や処遇が安定してこそ、「この仕事を続けていこう」と思える。
そのためには、補正予算だけでなく、継続的に安心して働ける仕組みが求められます。

ただ、僕自身もその「仕組み」をどう設計すべきかという専門的な部分は深く考えられません。
それでも現場にいる立場として強く思うのは──
「働く人の生活を守る仕組みがなければ、介護の質も守れない」 ということです。

政治への関心を“持てない”ほど現場は限界に近い

高市総裁のように、介護職や医療職の現状に言及してくれる政治家がいることはありがたい。
けれど、その声が現場に届かない。届いたとしても、「今はそれどころじゃない」という空気がある。

実際、僕の職場でも総裁選や補正予算の話題が出ることは少なく感じます。
政治に関心がないのではなく、目の前の業務で精一杯なんだとも思います。
不規則な勤務、利用者さんの多様な要望、いつまでも続く超過勤務──
そうした現場のリアルが、「政治を語る余裕」を奪ってしまっているのです。

僕はこの現状を「無関心」ではなく「限界」と捉えています。
本来なら、国の制度や政策にもっと関心を持つべきかもしれません。
でも、介護職の多くがそこに意識を向けられないほど疲弊している。
その現実を、国にも社会にも知ってほしいと感じます。

現場から、少しだけ声をあげてみる

高市総裁の発言をきっかけに、「介護の処遇」「報酬改定」「補正予算」といった言葉がニュースで取り上げられるようになりました。
それ自体は大きな前進です。

ただ、それを“他人事”として見過ごしてしまえば、いつまで経っても現場の声は届きません。
僕たち一人ひとりが、ほんの少しでも関心を持つ。
ニュースを見て、「自分たちの仕事にどう関わるのか」と考えてみる。
それが、介護職全体の未来を変える小さな一歩になるのかもしれません。

介護現場は、誰よりも現実を知っている立場です。
「声を上げる余裕なんてない」というのも、まさにその通りです。
それでも、ほんの少しでもいい。
「ありがたい」「続いてほしい」「現場に届く仕組みを」と思うこと自体が、変化の始まりになるのではないかと思います。

まとめ

補正予算はありがたい。
けれど、それで終わってしまっては意味がありません。
介護を支える人が安心して働ける仕組み、そしてその声が政治に届く環境。
その両方があってこそ、介護の未来は安定していくはずです。

新総裁の言葉をきっかけに、政治を語ることがタブーではなく、
「現場を良くするための会話」として自然に交わされるような職場に──。
そんな日常が増えることも大切なことなのかなと感じています。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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この記事を書いた人

介護福祉士「miya」
福祉の授業がきっかけで介護の道へ
気づいたら18年
経験:特養・養護・通所・訪問
現在:特養
趣味:釣り、ウイスキー、コーヒー、園芸、アウトドア、ファッション

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