【第3回】“心にくる”ストレス──介護職が抱える見えない負担と向き合う

はじめに:身体よりも「心」が限界を超えるとき

介護職は人と深く関わる仕事。
その分、「心がすり減る」経験も多く、ストレスは見えにくく、気づかれにくいものです。

今回は、**「生物的ストレッサー」と「心理・社会的ストレッサー」**を取り上げます。
コロナ禍を経て、より複雑になった「心の負担」と、そこから自分を守る術を一緒に考えていきましょう。


1. 生物的ストレッサー:目に見えない「感染」の恐怖

◆ 例1:感染症リスク(インフル・ノロ・コロナなど)

高齢者施設では、ひとたび感染が起これば命に直結するリスクに。
職員は、自身の感染防止に加え、持ち込まない・広げないプレッシャーとも戦っています。

◆ 例2:感染症ケアの心理的負担

隔離・防護服・消毒対応など、通常の業務以上の集中と神経のすり減りが求められます。

また、職員の感染による欠員で超過勤務を強いられることも…

◆ 例3:社会的ストレス(感染後の対応)

「感染したのは誰?」「あの人が持ち込んだのでは?」
疑心暗鬼や陰口による、メンタルへのダメージも無視できません。


2. 心理・社会的ストレッサー:介護職が直面する“人間関係”の壁

◆ 例1:「お局」的存在やパワハラ

自分の価値観が絶対、自分以外は間違い。
そういった極端な人物の存在が職場全体を支配し、人を辞めさせていく現実もあります。

◆ 例2:ナースコールや電話対応のプレッシャー

「すぐに対応しないとクレームになる」「また鳴っている…」
こうしたプレッシャーが日常化すると、常に気が張りつめた状態に

◆ 例3:感情労働の負荷

「悲しい顔は見せられない」「利用者の前では笑顔」
気持ちに反して感情を押し殺す、いわゆる**“感情労働”**もストレスを蓄積させます。

◆ 例4:待遇差や不公平感

正社員と非正規職員の待遇差。
評価されにくい業務、責任ばかり重い立場など、理不尽さへの不満や無力感も大きなストレッサーです。


職員のリアルな声

「夜勤中、コールが鳴るたびに心臓がギュッとなる」

「家でもコールの音が聞こえる気がする…」
「“あの人”と関わるのがつらくて、毎朝出勤前に胃が痛くなる」
「何もかも理不尽で、でも誰にも言えない。言ってもムダ…」」

こうした「声にならない声」が、最も深刻で見落とされやすいのです。


対策は「逃げずに、でも抱え込みすぎずに」

✅ 第三者機関への相談
✅ 同僚や信頼できる上司への共有
✅ カウンセリング制度の利用(法人によっては福利厚生で提供)
✅ “心が限界になる前に”異動や転職も一つの選択肢


介護職は「人のため」だけでなく「自分のため」も大切

自分を犠牲にしないと続けられない仕事は、長く続けられません。
「人に寄り添う」ためには、まず自分自身に寄り添うことが必要です。

職場や周囲に伝えること、
「逃げ」ではなく「選び直すこと」も、立派な自己防衛です。


おわりに:気づき、守り合える現場を目指して

ストレスの正体を知ることは、対処への第一歩。
介護の現場が、職員一人ひとりのストレスに“気づき”、寄り添える場であることが理想です。

あなた自身のストレスにも、周りの人のストレスにも、どうか気づいてあげてください。


【全3回】まとめ


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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この記事を書いた人

介護福祉士「miya」
福祉の授業がきっかけで介護の道へ
気づいたら18年
経験:特養・養護・通所・訪問
現在:特養
趣味:釣り、ウイスキー、コーヒー、園芸、アウトドア、ファッション

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