【第7回】介護現場の生産性向上がもたらす成果

介護業界で「生産性向上」という言葉を耳にすると、「人を減らすこと」「効率を追い求めること」と誤解されることがあります。しかし、僕が思うのは違います。
生産性向上=職員が疲弊せず、利用者がより満足できるケアを継続可能にすること。
この定義を出発点にして考えると、その成果は現場・利用者・経営の三方向に広がっていきます。


✅ 職員の負担軽減と定着率の向上

生産性向上の大きな成果の一つは、職員の「働きやすさ」が確保されることです。ICTの導入や業務の標準化によって、記録や情報共有にかかる時間が短縮されます。その結果、余裕が生まれ、利用者と向き合う時間が増えます。

また、負担が偏らないチーム体制や、腰痛予防・効率的介助の研修によって身体的な負荷も軽減。これらは、結果として離職率の低下につながります。
「辞めない環境」をつくることは、新規採用のコスト削減や教育負担の軽減という副次的な成果も生み出します。


✅ 利用者の満足度・安心感の向上

生産性向上は、決して職員側のメリットだけではありません。むしろ利用者や家族にとっても大きな成果があります。

・夜勤時の見守りセンサー導入による安全性向上
・排泄予測やスケジュール管理の工夫で、必要な介助がタイムリーに受けられる
・職員が疲弊せず笑顔で関われることで、心理的な安心感が高まる

これらはすべて「ケアの質」が上がったことの表れです。利用者一人ひとりの生活が尊重される環境が整うことで、家族の信頼感や満足度も向上します。


✅ 経営の安定と加算取得へのつながり

職員定着や利用者満足度の向上は、法人経営にとっても安定要因となります。残業時間の削減や離職率の低下は、直接的にコスト削減へとつながります。さらに、国が重視する「生産性向上」「働きやすさ改善」に取り組むことは、加算取得の条件を満たすことにも直結します。

つまり、生産性の向上は「経営の安定」と「報酬確保」という二重の成果を生むのです。これは、現場・利用者・法人の三者にとってウィンウィンの関係をつくり出します。


✅ 生産性向上の真の意味を忘れない

ここまでシリーズで紹介してきたように、ICTの活用、業務プロセスの見直し、役割分担、働きやすさの確保、地域資源の活用――これらはすべて「人を減らすため」ではなく、「人を守るため」に必要な取り組みです。

改めて繰り返します。
生産性向上とは、職員が疲弊せず、利用者がより満足できるケアを継続可能にすること。

これを軸に、介護現場での取り組みを積み重ねていけば、私たちはより良い未来を築いていけるはずです。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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この記事を書いた人

介護福祉士「miya」
福祉の授業がきっかけで介護の道へ
気づいたら18年
経験:特養・養護・通所・訪問
現在:特養
趣味:釣り、ウイスキー、コーヒー、園芸、アウトドア、ファッション

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