介護現場でよく聞く「臨機応変」という言葉
介護の現場では「臨機応変に対応」という言葉をよく耳にします。
人相手の仕事であり、要介護状態の高齢者を支える以上、臨機応変な対応が求められるのは当然だと思います。
でも僕はこの言葉を聞いて、モヤっとすることがあります。
なぜなら「臨機応変」という言葉が、とても便利に使われてしまう場面を何度も見てきたからです。
なぜ「臨機応変」にモヤっとするのか
忙しいから
人手が足りないから
今はそれどころじゃないから
こうした理由も、すべて「臨機応変」で片づけられてしまうことがあります。
本来、臨機応変とはその場しのぎや曖昧な判断ではないはずです。
説明できない対応が積み重なると、現場の不信感や混乱につながっていきます。
臨機応変の前に必要な「判断の軸」
僕が考える臨機応変な対応には、必ず前提があります。
それは基本となる軸やルールがあることです。
・法人の理念や事業所の目標
・チームとして大切にしたい価値観
・自立支援とは何か
・その人にとっての生活とは何か
こうした軸があってこそ、臨機応変は「判断」になります。
軸がなければ、それは自己都合や現場都合に過ぎません。
処遇や労働環境の厳しさも現実としてある
介護業界は、処遇や労働環境の面でも決して恵まれているとは言えません。
慢性的な人手不足の中で、業務を回すだけでも精一杯な現場が多いのも事実です。
だからこそ、
「軸やルールを定める労力がしんどい、時間もない」
そう感じてしまう気持ちも理解できます。
それでも、この部分を曖昧にしたままでは、臨機応変は歪んでいきます。
臨機応変に必要なのは「説明できて納得できる理由」
適切な臨機応変な対応には共通点があります。
それは説明できて納得できる理由があるかどうかです。
なぜ通常と違う対応をしたのか
なぜ今回は例外と判断したのか
これを同僚や多職種、家族に説明できるかどうか。
説明できない、納得できない判断は、どこかで必ず問題になります。
判断の質は知識と経験で変わる
臨機応変な対応には差が出ます。
その差を生むのが、知識・経験・想いなどがあると思います。
引き出しが多い人ほど選択肢を持っています。
引き出しが少なければ、判断も限定的になります。
だからこそ、
自己学習は大切ですし、
研修に参加できる環境も重要だと感じています。
心理的安全性が臨機応変を育てる
判断を問われたときに、
頭ごなしに否定される
感情的に責められる
そんな環境では、誰も語らなくなります。
一方で、
「なるほど、よく考えての判断だね」
「その視点はなかった」
「別の選択肢はあったかな」
そうした対話ができる現場では、臨機応変の質が高まっていきます。
自分の判断や考えを疑う柔軟さも必要
「自分の判断が絶対に正しい」という固定概念を持たないことです。
臨機応変とは、正解を押し通すことではありません。
常に見直し、修正できる姿勢が求められます。
柔軟な考えができることは、心理的安全性を守ることにも繋がります。
軸やルールを定める労力を惜しまない
軸やルールを定めることは簡単ではありません。
時間もかかりますし、意見の衝突も起きます。
それでも、この労力を惜しむと、
本来まとまるものもまとまらなくなります。
臨機応変が求められる現場だからこそ、
「決めるべきことは決める」姿勢が必要だと思います。
臨機応変は施設の育成体制を映す鏡
適切な臨機応変な対応ができている施設は、
育成体制が整い、
軸やルールが共有されています。
逆に、
臨機応変が人任せになっている施設では、
育成も属人化しやすく、現場が疲弊しやすい。
臨機応変な対応は、その施設の質を映す鏡だと感じています。
まとめ:臨機応変は何でも許される言葉ではない
臨機応変な対応は常に求められます。
しかし、何でも許される都合のいい便利な言葉ではありません。
軸があり
納得できる説明できて
対話できる環境がある
その上での臨機応変な対応こそが、
利用者さんの生活を守り、
職員自身を守ることにもつながるのではないか。
僕はそう考えています。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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