はじめに:育児・介護を取り巻く新しい制度
2025年10月に改正「育児・介護休業法」が施行されています。
改正の目的は、仕事と家庭の両立を支援し、育児・介護離職を防ぐこと。
具体的には「介護離職防止のための個別周知・意向確認の義務化」や「勤務時間短縮制度の柔軟化」などが盛り込まれています。
制度そのものは、介護や育児を抱える職員にとって非常にありがたい内容です。
しかし、現場で働く介護職の立場から見ると、「理想」と「現実」の間には大きなギャップがあるのも事実です。
現場で感じる“理解”と“負担”の両立
私の職場にも、親の介護をしている職員がいます。
職員同士で理解し合い、勤務を調整して支え合う光景は決して珍しくありません。
お互いさまの精神が根付いている――これは介護業界の大きな強みだと感じます。
ただし、余剰人員がいるわけではなく、常に人手はギリギリ。
誰かが休めば、別の誰かが超過勤務をして穴を埋める。
理解はあっても、負担の連鎖は避けられないのが現実です。
制度が整っても、現場の人員体制が整っていなければ、
「助けたい」「支えたい」という気持ちだけでは回らない。
介護・福祉の現場で働くからこそ、その難しさを痛感します。
テレワークが難しい業界の“見えない課題”
今回の改正では、柔軟な働き方として「テレワーク」も推進されています。
たしかに一般企業では有効な選択肢ですが、
私たちのように現場でご利用者と直接向き合う介護・看護職には現実的ではありません。
「制度はあるけど、使えない」
このギャップをどう埋めるのかが、今後の大きな課題だと感じます。
現場では“制度で守られる職員”をフォローする人たちが必ず存在します。
では、そのフォローする側の職員は誰が守るのか…。
制度の恩恵を誰もが平等に受けられるようにするためには、
職員の数的・体制的な余裕づくりが不可欠だと思います。
制度を「活かす」ために必要なこと
育児・介護休業制度を「あるだけ」で終わらせないためには、
法人や会社の柔軟な対応、そして現場職員同士の理解と協力は欠かせません。
特に介護現場では、“制度を使う人”も“支える人”も両方が尊重される環境づくりが求められます。
一人ひとりが安心して働ける環境を整えることが、
結果的に離職防止やサービスの質の向上につながる。
その循環をどう作るか――現場から声を上げ、考えていく必要があるのかもしれません。
おわりに:現場の声を政策に届けたい
改正育児・介護休業法は、多くの人を救う可能性を持った制度です。
しかし、「制度がある」だけでは十分ではありません。
現場の声が反映されてこそ、初めて“生きた制度”になります。
介護職として、現場のリアルを発信していくこと。
それもまた、制度を育てていく大切な一歩だと感じています。

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