【第6回】地域・外部資源の活用

介護現場の生産性向上は、施設や事業所の中だけで完結するものではありません。医療機関、地域住民、ボランティア、他法人など、外部資源とつながりを持つことで、現場の負担を軽減し、利用者により質の高いケアを届けることが可能になります。ここでは「地域・外部資源の活用」という視点から、生産性を高める取り組みを整理してみます。


✅ 医療・リハビリとの連携強化

介護の現場では、利用者の健康状態に関する判断や対応が必要になる場面が多くあります。しかし介護士だけでは医療的判断はできません。ここで重要になるのが、地域の医療機関やリハビリ専門職との連携です。

・定期的な訪問診療やリハビリの導入
・主治医や看護師とのオンライン連絡体制の整備
・急変時の対応フローを医療機関と共有しておく

これらによって、介護士が「判断できないことに悩む時間」を減らせると同時に、利用者も安心感を得られます。医療やリハビリの専門職と役割分担をすることで、介護職は自分の専門性を発揮でき、全体の効率も高まります。


✅ ボランティア・住民の協力

地域住民やボランティアの力は、介護現場の大きな支えになります。例えば、レクリエーションや外出の付き添い、趣味活動の講師など、専門性や経験を持った住民が関わることで、利用者の生活が豊かになり、介護職員の負担も軽減されます。

・趣味活動(音楽、手芸、園芸など)を地域の人が担う
・買い物や散歩の付き添いをボランティアがサポートする
・子どもや学生との交流を取り入れる

こうした活動は「介護職員でなくてもできること」を切り分ける意味でも大切です。地域の人々と共にケアをつくることで、施設や事業所が「地域に開かれた場所」として認識され、信頼関係の構築にもつながります。


✅ 他法人との情報共有・協働

介護事業所は、それぞれが同じ課題を抱えています。人材不足、研修体制、ICT導入の進め方など、悩みは似ていることが多いのです。他法人との交流や情報共有は、その解決のヒントになります。

・地域包括支援センターを通じた事例共有会
・法人の垣根を越えた勉強会や研修
・合同でボランティアや住民向けのイベントを開催

こうした取り組みによって、一つの法人だけでは実現できない工夫や仕組みを学び合えます。結果として現場の改善スピードが速まり、効率化や離職防止につながる可能性があります。


✅ 「地域とつながる」ことがもたらす効果

地域や外部資源を活用することは、単に「人手を補う」だけではありません。

・利用者にとっては、多様な人との関わりで生活の質が向上する
・職員にとっては、自分たちの負担が減り、専門性を活かす余裕が生まれる
・法人にとっては、地域に根差した存在として信頼が高まり、安定した運営につながる

つまり、地域とのつながりは「生産性=人を守る仕組み」を広げることでもあるのです。


✅ まとめ

介護現場の生産性向上を考えるとき、「内部改善」だけでは限界があります。地域医療やリハビリの専門職、住民やボランティア、そして他法人とのネットワーク――こうした外部の力を取り入れることで、現場は持続可能な形に近づいていきます。

次回の記事はこちら
👉【第7回】介護現場の生産性向上がもたらす成果


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この記事を書いた人

介護福祉士「miya」
福祉の授業がきっかけで介護の道へ
気づいたら18年
経験:特養・養護・通所・訪問
現在:特養
趣味:釣り、ウイスキー、コーヒー、園芸、アウトドア、ファッション

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