特養の便コントロールを、あらためて考える―出ればそれでいいのか―

特別養護老人ホーム(以下、特養)で働いていると、
便コントロールは避けて通れないテーマです。

常飲の下剤、臨時の下剤、浣腸。
多くの施設で一定のルールがあり、
概ね「管理できている」のではないかと感じます。

しかし、
そうでない場面に出会うことがあります。


特養における、一般的な便対応の流れ

施設差はありますが、便対応の基本的な考え方は共通しています。

  • 常飲の下剤で排便リズムを作る
  • 数日出なければ、マイナス◯日で臨時下剤を追加
  • それでも出ない場合、浣腸を検討する

浣腸は身体的・心理的な負担が大きく、
できれば避けたい対応です。

だからこそ、
「浣腸をしなくて済むなら、それに越したことはない」
という考え方は、決して間違いではありません。


ブリストル便形状スケールで、評価は揃った

今では、
ブリストル便形状スケールを使って便性状を評価する施設も増えています。

これによって、

  • 「軟らかい」「下痢っぽい」といった主観が減った
  • 職員ごとの評価差が少なくなった

という点は、間違いなく前進だと思います。

施設で一般的に目標とされるのは
スケール4~5だと思います。


それでも起きる「6~7が続く」状態

ただ、現場ではこんなケースも珍しくありません。

  • 毎日便は出ている
  • しかし形状は、6や7が続いている
  • 下剤は「現状維持」のまま

「出ているから問題ない」
そう判断されてしまうこともあります。

でも僕は、
スケール6~7がだらだら続く状態は、適切とは言えない
と感じています。


「出ている」けれど、リスクは減っていない

6~7の便が続くことで、
別のリスクが見えてきます。

  • 脱水や栄養状態の悪化
  • 失禁による皮膚トラブル
  • 夜間対応や更衣対応の増加
  • 利用者さんの尊厳が損なわれる場面

浣腸を避けた結果、
別の形で負担や苦痛が増えている

これは、本来の目的からズレている気がします。


「出ればいい」という極端な考え方

浣腸にはリスクがあります。
だからこそ、

形状は関係なく、とにかく出ればいい

そんな考え方が生まれるのも、理解できます。

でも、
便の形状をまったく見ない便対応は、
排便コントロールとは言えません。

ブリストルスケールがある今、
「出たかどうか」だけを見るのは、
せっかくの評価基準を活かしきれていない状態です。


特養レベルの現実も、確かにある

一方で、理想論だけでは語れない現実もあります。

  • 腹圧をかけることが難しい
  • 活動量が少ない
  • 食事量・水分量にも限界がある

特養の利用者さんにとって、
スケール4で自然排便を常に目指すのは簡単ではありません。

だからといって、
「無理だから考えない」でいい話でもない。


理想を押しつけるのではなく、近づける努力を

大切なのは、

  • 完璧な形状を求めることではなく
  • 少しでも近づけようと考え続けること

常飲下剤の量は適切か。
水分や食事、生活リズムはどうか。
今の便性状は、本当に“良し”としていいのか。

これは個人判断ではなく、
チームで考えるべきテーマだと思います。


「できている施設」と「できていない施設」

こうした考え方は、
当たり前にできている施設も多いでしょう。

でも、
できていない施設があるのも事実です。

できている現場は、それを当たり前で自然なこととして捉えており、
出来てない現場は、それに気付いていない、もしくは浸透することに苦労している。

だからこそ、
あえて立ち止まって考えてみようと思いました。


次回は、

  • なぜ「浣腸を避ける判断」が誤解を生むのか
  • 看護職と介護職で見ているリスクの違い
  • 「怠慢に見えてしまう」構造の正体

このあたりを、もう一段踏み込んで整理します。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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この記事を書いた人

介護福祉士「miya」
福祉の授業がきっかけで介護の道へ
気づいたら18年
経験:特養・養護・通所・訪問
現在:特養
趣味:釣り、ウイスキー、コーヒー、園芸、アウトドア、ファッション

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