前回の記事では、個室化・ユニットケアが進んだ今の特養で、
それでも虐待がなくならないことへの違和感を書きました。
個別性や尊厳を守るという理想が、
現場では「一人対応」「孤立」という形で現れているのではないか。
そんな問題提起でした。
今回はそこから一歩進んで、
では現場では何ができるのか、
そして
本来は制度が担うべきことは何なのか
を考えてみたいと思います。
現場で最低限できることは「一人で完結させない」こと
人員が潤沢に増えることは、今すぐには期待できません。
だからこそ現場レベルでは、
「理想の配置」を目指すより、
壊れにくい関わり方を意識する必要があると思います。
その一つが、
高リスクの身体介護を、一人で完結させないという考え方です。
排泄介助、移乗、入浴、拒否の強い対応など、
身体的にも感情的にも負荷が高い場面では、
必ず誰かに声をかける。
実際に来てもらえなくても、
「今から対応に入る」という共有があるだけで、
孤立感や密室感は大きく変わります。
重要なのは、
呼ぶことが弱さや迷惑にならない文化を作れるかどうか。
一人でこなせる人だけではなく、
ちゃんと声を上げた人も評価される空気が必要だと思います。
一対一は「ポジティブな時間」に使う
個別ケアそのものを否定する必要はありません。
むしろ、個別の時間を増やしていくべきだと思います。
・ゆっくり話を聞く時間
・外出や散歩
・ケア選択を一緒に考える場面
こうしたポジティブで関係性を深める時間にこそ、
一対一は活きると思います。
一方で、
急ぎや負担の大きい身体介護を
常態的に一人で抱える構造は、
やはり見直す必要があると感じます。
回らない日は、回らないと認める
現場でつらいのは、
急な欠員、緊急時の対応など「今日は無理だ」と分かっていても、
いつも通りを求められる。
もしくは、自らがいつも通りを課してしまうことかもしれません。
人が足りない日、余裕がない日。
その日は最低限のケアになる。
それは怠慢ではなく、現実です。
無理に帳尻を合わせようとしたとき、
壊れるのは職員ではないでしょうか。
本来、制度が担うべきだったこと
ここからは、現場努力ではどうにもならない部分です。
今の制度は、高度なケアを求めながら、
基準は最低限のままです。
つまり、
質の高いケアを、個人の善意と頑張りで支える前提になっているように感じます。
本来、制度が担うべきだったのは、
・見合った人員配置
・高リスク介助への評価(加算)
・夜勤や少人数体制の見直し
こうした構造的な支えではないでしょうか。。
「人を選ぶことはできない」
介護業界の現実として、
理想の人材だけを選べる状況ではありません。
スター選手のような、何でもかんでもこなしてしまう職員ばかり
採用できれば、現状の基準でもいいかもしれません。
高齢で体力的にハンデがある、入職したばかりでこれから勉強していく。
そのような職員と、現役バリバリの職員、同じはずがありません。
職員間のフォロー、育成も重要です。
誰が関わっても、
大きな事故や虐待に繋がりにくい。
個人が壊れにくい。
そんなことも踏まえた、制度設計が必要ではないでしょうか。
個人を責めないために、構造を変える
虐待は決して許されるものではありません。
ただ、それを防ぐ方法が
「意識を高めろ」「研修を増やせ」だけでは、
もう限界に来ているように感じます。
尊厳を守るケアを、質の高いケアを、
個人の力に頼りすぎずに続けていくために。
構造そのものを見直す必要があるのかもしれません。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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