【第6回】職員を守ることは、社会を守ること


✅ 職員を守ることはなぜ大切なのか

介護現場では、時に利用者さんやご家族から過度な要求や理不尽な言葉を受けることがあります。
もちろん、介護は「人の人生を支える仕事」。だからこそ真摯に向き合わなければなりません。

しかし一方で、介護士も人間であり、労力や心の余裕には限りがあるという現実があります。
ここを無視して「すべて応えなければならない」としてしまうと、職員は疲弊し、結果として現場の質も下がってしまいます。


✅ 職員を守ることは、事件を防ぐことにつながる

過去に起きた大きな事件を、介護職として「決してあってはならないこと」と誰もが感じています。
しかし、同時に「気持ちはわかってしまう」という職員も少なくありません。

大切なのは、そこまで追い詰められてしまう環境を変えること
「気持ちはわかるけれど、踏みとどまれている職員」が多い現状を、もっと社会に理解してもらう必要があります。

職員を守ることは、同じような悲しい事件を未然に防ぐことにもつながります。
これは個々の職員の問題ではなく、組織や社会全体で取り組むべき課題ではないでしょうか。


✅ 法人・事業所にできること

  • 明確なルールを定め、職員が過度な要求に押し潰されないようにする
  • 利用者間の不公平感を減らし、職員が「これでいいんだ」と安心できる基準を整える
  • 職員が声を上げやすい仕組みをつくる

たとえば「1日4回が基本のパット交換」を大幅に超える場合には、自費対応にするなど、ルールの明文化が職員を守る一歩です。
これは決して利用者をないがしろにすることではなく、“対等な関係性”を築くための工夫だと思います。


✅ 国や社会に求めたいこと

職員を守る仕組みは、法人や事業所だけでは限界があります。
法律や制度の面からも、介護士が安心して働ける環境づくりを後押ししてほしいのです。

賃金・待遇の改善はもちろん、過剰な要求や暴言に対して職員が守られる法的枠組みも必要です。
介護士は「人を支える仕事」を担っています。だからこそ、介護士自身も守られる存在でなければならないはずです。


✅ 最後に──「守ること」は「続けること」

僕は、職員を守ることは社会を守ることだと思っています。
職員が安心して働けるからこそ、利用者さんも安心して介護を受けられる。
この循環がなければ、介護の現場は持続できません。

「守られている」と実感できる職場でこそ、職員は長く働き続けられます。
そして、その積み重ねが利用者さんやご家族にとっての安心に直結します。

介護士一人ひとりの声を無視せず、守る仕組みを社会全体で考えていくこと
それこそが、これからの介護に必要な視点だと僕は思います。


今回のシリーズでは、ニーズの”多様化”について考えています。

【第1回】利用者の世代交代と現場の葛藤
【第2回】利用者像の変化と“芯の強さ”へのリスペクト
【第3回】変化する現場──これからの介護職に求められること
【第4回】組織として考える「過度な要求」と「職員を守る仕組み」
【第5回】現場を守るために「仕組み化」が必要な理由
【第6回】職員を守ることは、社会を守ること
【第7回】職員を守るための具体的な仕組みづくり
【第8回】入居施設において、利用者を選ぶことは必要か?
【第9回】経営と現場をつなぐ“対話”の重要性
【第10回】信頼を築くための実践方法 ― 経営と現場の“橋渡し”
【番外編】地域の力という理不尽と強み


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この記事を書いた人

介護福祉士「miya」
福祉の授業がきっかけで介護の道へ
気づいたら18年
経験:特養・養護・通所・訪問
現在:特養
趣味:釣り、ウイスキー、コーヒー、園芸、アウトドア、ファッション

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