はじめに
新人職員さんが現場に入ると、よく耳にするのがこんな声。
「人によって言うことが違うんです…」
「何が正しいのかわからない…」
指導をする立場にある私たちにとって、
これは少し耳の痛い言葉かもしれません。
でも、新人さんが混乱する背景には、
私たち“受け入れ側”にも原因があるかもしれません。
実は「マニュアル」だけでは足りない
多くの施設や事業所には、新人教育用のマニュアルが用意されています。
しかし、マニュアルがあっても、現場対応が統一されていないということはよくあります。
- 利用者さんの状態は日々変化する
- スタッフの経験やこだわり、得意分野が違う
- マニュアルが古い/現場に合っていない場合も
つまり、新人さんが混乱するのは当然とも言える状況なのです。
「私はこう教えてる」ではなく「チームでどう教えるか」
新人さんの育成は、チーム全体で取り組むべきテーマです。
もし自分のやり方と違うことを教えている先輩がいたら、
「あの人、違うこと言ってる」ではなく、こう考えてみませんか?
- なぜそう教えているのかを確認する
- お互いの意見を出し合い、方針をすり合わせる
- 状況に応じた“判断の幅”を新人に説明する
一人ひとりの考えや工夫は大事。
でも、新人さんにとっては「一貫性」や「安心感」も大事なのです。
新人さんが「困っているサイン」に気づこう
新人さんは、指導者に遠慮してなかなか本音を言えません。
- 目を合わせない
- メモばかりして質問が減る
- 同じミスを繰り返してしまう
- 表情が暗い、表情がない
そんなサインが見えたら、
「困ってるかもしれない」と察してあげる感性も、私たち受け入れ側に求められます。
指導者以外のフォローも大事
不規則勤務の現場では、常に指導者がついていられるわけではありません。
だからこそ、リーダーや主任、他の先輩もフォロー役としてかかわることが大切です。
- 指導者不在の日は誰がサポートするかを明確にする
- 他のスタッフが口を出すときは「軸」をぶらさない
- 新人の様子を共有し合う時間をもつ(ミニ報告会など)
「完璧に育てよう」と思わないで
新人育成は、焦ると空回りします。
- すぐに結果を求めない
- 苦手があるのは当たり前と考える
- 支える側も「学びながら育てる」姿勢で
私たちもかつては“新人”でした。
あのときの不安や戸惑いを、どうか忘れないでいたいですね。
おわりに:新人は「大切な人財」
新人さんは「戦力」ではなく、**未来を担う“人財”**です。
現場に慣れるまでは、時間も手間もかかります。
でも、寄り添い、育て、チームに迎え入れることで──
現場全体が強くなっていくのだと思います。
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