1. はじめに:介護の現場でふと感じた違和感
「えっ?夕食の前にもうパジャマなの?」
特養で働き始めた頃、あるご利用者の姿を見てそう感じたことがあります。自分の中では「お風呂のあとに着替えるもの」「夕食は普段着で」という常識がありました。
でも、その“常識”は、果たして介護現場でも正しいのでしょうか?今回は、そんな日々のケアの中にある“小さな疑問”をテーマに考えてみたいと思います。
2. 一般的な常識と、介護現場の現実
多くの方にとって「パジャマに着替えるタイミング」は、
お風呂→寝る準備→就寝という一連の流れの一部でしょう。でも、特養の現場では事情が違います。
限られた人員、限られた時間、残存機能を活かすリハビリ的観点――
「今のうちに着替えてもらわないと間に合わない」
「自分で着られるタイミングが“今”しかない」そんな理由で、夕食前にパジャマに着替えることもあります。
3. 職員の中でも分かれる「これってアリ?ナシ?」
職員の間でも意見が割れることがあります。
- 「夕食をパジャマで食べるのはおかしい。人の生活としてどうかと思う」
- 「いやいや、できるときにできることをしておかないと…」
どちらも現場を思っての言葉。
“間違い”があるというより、“正解がひとつではない”というのが本音ではないでしょうか。
4. では、何を基準にすればいい?
私自身はこう思います。
✅ まずは「ご本人の気持ち」はどうなのか?
✅ ご本人が判断できない場合は「ご家族の意向」は?
✅ それでも判断できないときは、「施設の理念」や「職員間での話し合い」現場の“効率”だけでなく、意思や価値観に耳を傾けることが、
尊厳あるケアにつながるのではないかと思います。
5. おわりに:答えは一つじゃないけど、向き合う姿勢が大切
パジャマを夕食前に着ることが良いか悪いか、絶対的な答えはないかもしれません。
でも、“なんとなく”で進めてしまうのではなく、
「なぜそうしているのか」「他の選択肢はないか」を考えること。そして何より、「ご本人はどう感じるか」を想像すること。
小さなケアの選択が、その人らしい生活を形作る――
そんな視点を、これからも持ち続けていきたいですね。皆さんの施設、あなたの考えはどうでしょうか。
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