1. はじめに
これまでの記事では、介護士としての経験や、利用者の世代交代による変化、そして現場で感じる“やりがい”や葛藤についてお伝えしてきました。
今回は視点を少し変え、**「組織としての課題と改善策」**について考えます。
テーマは、利用者や家族からの過度な要求や、理不尽とも思える訴えへの対応です。
2. 現場で増える「過度な要求」
介護士として働いていると、利用者や家族からの要望や訴えは避けられません。
もちろん、その多くは生活の質を守るために必要なものであり、できる限り応えたいと考えています。
しかし、近年は**「やってもらって当たり前」**という感覚や、明らかに基準を超える要求も増えてきたと感じます。
例えば、パット交換の基準が1日4回と決まっている場合でも、「8回やってほしい」と希望される方がいます。
もちろん、その背景には身体的理由や不安があることも理解しています。
ですが、それは単に時間や労力だけでなく、人的コストや物品コストの増大にも直結します。
3. 不公平感と職員への影響
こうした過度な要求に全て応えていると、訴えのある利用者とそうでない利用者との間に不公平感が生じます。
同じ利用料を支払っていても、一方は人員を多く割き、物品も倍以上使用している場合、他の利用者やその家族から疑問の声が上がることもあります。
さらに問題なのは、現場の職員が違和感や疑問を抱き続けることです。
これが積み重なると、やがてモチベーションの低下や離職につながります。
「こんな状況で続けても意味があるのか…」と感じてしまう職員も少なくありません。
4. 職員を守るために必要な「ルール化」
介護現場の労力は有限です。
だからこそ、法人や事業所がルールを定め、職員と利用者双方を守る仕組みが必要だと考えます。
例えば、
- 基準回数(例:パット交換1日4回)を明確化する
- 基準を超える場合は、自費対応をお願いする
- サービス内容と制限を事前に契約書や説明で明示する
これにより、不公平感を減らすだけでなく、現場の混乱も防げます。
また、職員が理不尽な要求に振り回されることなく、他の利用者にも均等なケアを提供できるようになります。
5. 「弱い立場」からの脱却
現在の制度や法律では、利用者の権利が強く守られている一方で、現場の職員は守られにくい状況にあります。
もちろん、利用者の尊厳や権利は大切です。
しかし、それと同じくらい、職員が安心して働ける環境を整えることも重要です。
職員を守る体制がなければ、介護現場の質は上がらず、人手不足も解消しません。
これは介護職の待遇や働き方改革の一環として、もっと真剣に議論されるべき課題だと思います。
6. おわりに
過度な要求にすべて応えるのではなく、「基準」と「ルール」を設けることで対等な関係を築くこと。
それが利用者の生活の質を守り、職員のやりがいを長く続けるための第一歩になると感じています。
介護は、利用者・家族・職員の「三方良し」が理想です。
そのためにも、まずは法人や事業所レベルでのルール作りから始めてみてはいかがでしょうか。
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