【第1回】地位向上は“現場だけ”では無理? 介護福祉士会の役割とは

介護福祉士の「地位向上」。

それは、単に賃金を上げるだけの話ではありません。
社会的な評価や発言力、専門職としての誇り──
私たち一人ひとりが、もっと「選ばれ、尊重される存在」になるために欠かせないテーマです。

でも、いくら日々の現場でがんばっていても、社会構造は自然とは変わりません。
だからこそ、「現場の声」を集め、届けてくれる仕組みが必要です。

その役割を担うのが、**介護福祉士会などの“職能団体”**です。


なぜ“職能団体”が必要なのか

私たちがどれだけ専門性を磨き、まじめに仕事をしても、声を上げなければ社会には伝わりません。
そして、一人の声では限界があります。

だからこそ、**職能団体は「私たちの声をまとめ、形にして、社会に届ける存在」**として重要な役割を持っています。

現場での問題提起 → 政策提言や法制度の改善 → 地位や環境の向上
このサイクルを回すためには、現場の声が集まる“受け皿”が必要です。

その中核となるのが、日本介護福祉士会と、各都道府県の介護福祉士会です。


日本介護福祉士会の取り組みとは

介護福祉士会という名前は聞いたことがあっても、具体的な活動は知らない方も多いかもしれません。

実は、日本介護福祉士会は以下のような多岐にわたる活動を行っています。
(出典:日本介護福祉士会 公式サイト

✅ 主な活動内容

  • 政策提言
     厚生労働省や国会への働きかけ、制度改善の提案など
  • 研修や学びの場の提供
     専門性を磨く研修、学会発表、研究活動など
  • 組織率向上の取り組み
     啓発活動や、若手会員の育成、会員メリットの拡充など
  • 専門職ネットワークの構築
     全国の介護福祉士同士のつながり支援

特に注目したいのは、「現場の声」を社会に届ける力です。
介護福祉士としての現場経験や課題を、政策提言というかたちで可視化し、社会のルールづくりに関わっていく
これは、ただ現場で働くだけでは実現できない、貴重なアプローチです。


現実の壁:なぜ組織率は低いのか?

とはいえ、ここで大きな課題があります。

それが、組織率(=介護福祉士会に加入している人の割合)の低さです。

実際、令和4年度の日本介護福祉士会の会員数は約66,000人。
しかし介護福祉士の登録者数は約180万人を超えています。
(※実際の就業者ベースでも差は大きい)

つまり、1割未満という組織率です。

なぜ、これほどまでに少ないのでしょうか?

✅ 入会が進まない理由の例

  • 年会費(5,000~7,000円程度)への心理的・経済的ハードル
  • 業務多忙の中で研修参加が難しい
  • 「メリットがよくわからない」という印象
  • 「誰かがやってくれるだろう」という無関心

特に、賃金の水準がまだまだ低い介護職にとっては、
年会費すらも「余計な出費」と捉えられてしまいがちです。


現場職員の“リアルな声”として考えてみる

私自身も介護福祉士会の会員でありながら、
こういった現実には共感する部分があります。

  • 「日々の業務で精一杯」
  • 「自分が声を上げたところで変わらないのでは?」
  • 「現場とあまり関係ないように思える」

このような感覚は、多くの人に共通するものかもしれません。

ただ、それでも今のままで良いのか?と考えると、やはりNOです。
「声を上げる人」が少ないからこそ、変わらない。
そして、「声を上げる力」を蓄えるには、団体としての力が不可欠なのです。


次回予告:それでも、私たちにできることはある

地位向上のためには、「現場を良くする仕組み」も必要です。
第2回では、介護福祉士会がもっと魅力的になるための具体的なアイデアを紹介します。

  • 実務に役立つテンプレート・記録文例の提供
  • キャリアアップ支援(転職サポートや推薦制度)
  • ポイント制・電子図書館などの実用特典
  • 会員からの政策提案が反映される仕組み
  • 法人と連携して、会員数アップと支援の両立を図る制度

介護福祉士として、もっと誇れる働き方を。
次回も、ぜひお読みください。

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この記事を書いた人

介護福祉士「みや」
高校時代、福祉の授業がきっかけで介護の道へ。
短大卒業後、社会福祉法人へ入社し14年経験を積む。
転職サイトを通して初めての転職。
別の社会福祉法人で現在4年目。
既婚、息子が2人。
現場と人財、介護の未来を考えるブログを運営中。
趣味:ウイスキー、コーヒー、釣り、園芸、アウトドア。

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