はじめに:ストレスは“気づく”ことが第一歩
介護職の仕事は、人の命や生活に深く関わる責任ある仕事です。
やりがいがある一方で、ストレスを抱えやすい職種でもあります。
ところが、介護職の現場では「人間関係がストレス」といった表面的な要因にばかり注目が集まり、本質的なストレス構造に目が向けられていないことも多いと感じます。
そこで今回は、ストレスの原因=「ストレッサー」を4つの分類について、介護現場にどのような影響を与えているかをシリーズで考えていきます。
4つのストレッサーとは?
私たちの身体や心に負荷を与えるストレスの原因「ストレッサー」には、以下の4つの種類があります。
1. 物理的ストレッサー
温度、騒音、振動、照明、姿勢など、身体的・環境的な負担
2. 化学的ストレッサー
薬品、消毒液、空気中の化学物質など、化学的な刺激や毒性
3. 生物的ストレッサー
ウイルスや細菌など、感染症のリスクや病原体との接触
4. 心理・社会的ストレッサー
人間関係、職場の雰囲気、経済的な不安や仕事のプレッシャー
なぜ「4つに分けて考える」のか?
ストレスを「なんとなくツラい」「なんだかイライラする」と曖昧に捉えていては、根本的な対処ができません。
しかし、「これは物理的ストレッサーかも」「これは心理社会的な問題だ」と分類して捉えることができれば、自分で対処法を考えたり、職場に改善を求めたりするためのヒントになります。
曖昧なまま、なんとなく流してしまうのではなく、ストレスと具体的に向き合うことで、結果として利用者さんへのケアの質が高まることに繋がります。
介護現場におけるストレスの特徴
介護職は、相手のペースに合わせることが求められます。
しかし、人は自分のペースを乱されるとストレスを感じやすい生き物です。
この場合は「心理・社会的ストレッサー」に分類されます。
つまり、心に余裕がないと相手に合わせることができず、負の連鎖に陥ることがあります。
自分自身のストレスに「気づく力」と「伝える力」が必要ですし、同時に職場にも「受け止める力」が求められます。
次回予告:見過ごされがちな“環境”の負担
次回は「物理的ストレッサー」「化学的ストレッサー」をテーマに、
介護職の腰痛・疲労・手荒れ・騒音・消毒薬の刺激など、
**気づかないうちに蓄積されていく“体のストレス”**について掘り下げていきます。
おわりに:まずは「自分のストレス」に気づこう
介護職は感情労働でもあります。
「ストレスを抱えてはいけない」と思って無理をし続けることは、心身を壊す原因にもなりかねません。
まずは、自分がどんなストレスを受けているのか、“気づくこと”から始めてみませんか?
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