1. はじめに
前回の記事では、過度な要求や理不尽な訴えに対して、法人や事業所がルールを定める重要性についてお伝えしました。
今回はさらに一歩踏み込み、**「現場を守るための仕組みづくり」**について考えます。
介護は「人の想い」に寄り添う仕事ですが、それだけに感情や関係性に左右されやすく、対応にバラつきが生まれがちです。
この“バラつき”こそが、不公平感や不満を生み、結果として現場を苦しめる原因になっているのではないでしょうか。
2. 現場に広がる「バラつき」の実態
例えば、ある職員は「頼まれたら断れない」性格で追加の要求に応え続ける一方、別の職員は「ルール通り」に動く。
その違いが積み重なると、利用者や家族から「人によって対応が違う」「この人に頼めばやってくれる」といった声が出てきます。
これは単なる職員の個性の違いにとどまらず、組織としての信用問題に繋がるケースもあります。
だからこそ、誰が対応しても同じ質のサービスを提供できる仕組みが必要なのです。
3. 仕組み化の具体例
現場を守るために、法人や事業所で取り組める仕組みをいくつか挙げてみます。
- サービス基準の明文化
パット交換や入浴回数、対応可能な要望を「標準」として文書化し、全員に周知する。 - 利用者・家族への説明徹底
契約時に「標準サービス」と「追加対応(有料も含む)」を明確に伝える。曖昧さを残さないことがトラブル防止に直結します。 - 職員の判断フローを作る
要望を受けたとき「これは即対応」「これは上司に相談」「これは追加費用が必要」などの判断基準を用意しておく。 - 記録と情報共有の強化
誰かが特別対応をしたら必ず記録し、チームで共有。属人的な対応を防ぎ、透明性を確保する。
これらの仕組みは、単に現場を楽にするだけでなく、利用者や家族にとってもわかりやすく、公平感を保つために重要です。
4. 「守られている」という安心感が職員を強くする
介護職員にとって、最も辛いのは「一人で抱え込むこと」です。
過度な要求に対応し続けても、誰も守ってくれず、やがて疲弊して辞めてしまう…。
そんな流れを断ち切るために、法人や事業所が“職員を守る仕組み”を用意することが欠かせません。
職員が「この組織は私を守ってくれる」と感じられれば、自然と利用者に対しても良いケアを続けられます。
つまり、仕組み化は“介護の質”を守ることにも直結するのです。
5. おわりに
介護現場の課題は、制度や社会の大きな流れだけでなく、法人や事業所の姿勢次第で改善できる部分も多いと感じます。
「仕組み化」によって現場を守ることは、利用者・家族・職員すべてにとってプラスになる取り組みです。
現場任せにするのではなく、法人や事業所が明確な基準とルールを整え、全体で支える。
それが、これからの介護をより持続可能にする大切な一歩だと思います。
コメント