介護の現場ではよく耳にする「尊厳」という言葉。
でもその“尊厳”を守るつもりが、実は「理不尽なわがまま」に振り回されていることもある——
そう感じてしまうことはありませんか?
この記事では、介護福祉士としての経験から、「尊厳」と「わがまま」の違いについて、私なりの視点でお話しします。
🧭 目次
- 尊厳とは何か?
- 現場で起こる「わがまま」の例
- なぜ尊厳とわがままが混同されるのか?
- 職員が疲弊してしまう理由
- 「線引き」は悪ではない
- 働く人を守ることが、利用者の尊厳を守ることに繋がる
① 尊厳とは何か?
尊厳とは、簡単に言えば「その人らしく生きることを尊重すること」。
- 気持ちを受け止める
- 意思を尊重する
- 人として当たり前の配慮をする
これは介護職として最も大切にしたい価値観です。
② 現場で起こる「わがまま」の例
一方で、こんなことはないでしょうか?
- 自分だけに特別な食事を出してほしい
- トイレは誰よりも早く連れていってほしい
- 職員の交代があるたびに同じ説明を何度も求める
- お金を払っているんだからやって当たり前だろ
こういった要求にすべて応えていたら、職員が疲弊します。
③ なぜ混同されるのか?
「尊厳を守る」という言葉の強さが、
職員に「NOと言えない空気」をつくっていることもあります。
特に新人職員や真面目な方ほど、
「断る=相手の尊厳を傷つけてしまうのでは」と悩みます。
④ 職員が疲弊してしまう理由
- わがままに振り回される
- 職員同士でフォローが必要になる
- 自分の判断を責めてしまう
- シフトや人員が足りない中で余計に負荷がかかる
こうした負の連鎖が、心と体をすり減らし、離職に繋がるのです。
⑤ 「線引き」は悪ではない
大切なのは、「NO」を伝える勇気と技術。
- 「この時間は難しいけど、〇時ならご案内できますよ」
- 「気持ちはよくわかります。こういう形ならできます」
尊厳を守るとは、「すべてを叶える」ことではなく、
「できることを大切に扱う」ことです。
⑥ 働く人を守ること=利用者の尊厳を守ること
職員の心と体が健康でなければ、
利用者の尊厳を守るどころか、表面的な対応だけになってしまいます。
だから私は、介護職員を守ることが「尊厳の実現」につながると信じています。
🎯 結びのメッセージ
「尊厳」と「わがまま」の違いに向き合うことは、
本当に介護の仕事を長く続けるためにも大切な視点です。
現場で悩む誰かの気づきになれば嬉しいです。
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